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2017

"エクスクルーシブDrell-Yan過程\(\pi^{-}p\rightarrow\mu^{+}\mu^{-}n\) のQCDメカニズム"
講師名 田中 和廣氏   (順天堂大学)
1月25日(木曜日)
場所 理学部棟A304
J-PARCでの実験が検討されている高エネルギーエクスクルーシヴ過程\(\pi^{-}p\rightarrow\mu^{+}\mu^{-}n\)については、\(p\)および\(\pi^{-}\)からのクォークと反クォークの対消滅によるDrell-YanメカニズムのQCD因子化に基づく計算があり、散乱断面積は一般化パートン分布関数(GPD)で表される。その一方で、QCD因子化の枠組みでは扱えないソフトなQCDメカニズムの寄与がJ-PARCのエネルギーでは無視できないことを、光円錐QCD和則を用いた評価を示して議論する。
"最適化問題としての符号問題"
講師名 大西 明氏   (京都大学基礎物理学研究所・教授)
12月12日(火曜日)
場所 理学部棟A314
符号問題は現在の理論物理学における大問題の一つである。 例えば格子QCDは強い相互作用の第一原理計算であるが、 バリオン密度が有限の領域では、ボルツマン因子が複素数となり、 その積分(=分配関数)をモンテカルロ法で求めるとほぼゼロになってしまい、 精密な計算が困難となる。近年、積分変数の複素化により符号問題を 弱める、あるいは回避する方法(レフシェッツ・シンブル法、複素ランジュバン法)が 提案されているが、作用の特異点が実軸近辺に現れる場合には困難が残る。 我々は最近、符号問題を複素化した積分経路の最適化問題として捉える 「経路最適化法」を提案した。経路最適化法では、作用(S)が発散する場合でも ボルツマン因子(exp(-S))が発散しなければ問題は起こらず、また必要に応じて 経路を制限することにより特異点を回避することも可能である。 このセミナーでは経路最適化法を導入し、これを1次元模型、 および1+1次元複素φ^4理論に適用した結果について議論する。 後者ではニューラルネットワークを用いた最適化を用いており、 符号問題への機械学習の応用についても言及する。

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